研究領域

現在の主な研究テーマは以下の通りです.

非常時における音声通話収容効率向上型通信受付制御方式

災害や事件などの非常時には,警察や救急などへの通報など緊急の音声通話と,一般ユーザによる安否確認などの通常の音声通話の,量通信が多数網に到着するため,緊急の音声通話のみが優先される従来の制御では,通常の音声通話を多数網内に収容するのは困難である.
そこで,音声通話(VoIP通信)を収容する固定・携帯電話網やNGN網,インターネットなど,公衆通信網を対象として,トラヒック状況に応じて,通常の音声通話の適切な留保(呼損または待機),さらには適切な一定時間での通話切断導入により,緊急の音声通話数を従来通り必要数確保しつつ通常の音声通話をより多く収容する,新しい受付制御方法を実現する研究に取り組んでいる.

複雑なネットワーク系に耐えうるネットワーク障害検知手法

ネットワークシステムにおける障害には,継続的に通信ができなくなるなどの明確に障害が確認できるようなものもあれば,時間経過により変化するため原因の特定が困難な障害もある.
これらの障害においてその原因を特定するには,これまでの運用において蓄積した障害事例といった運用ノウハウに大きく依存する必要があり,そのため,ネットワーク運用の経験が浅い技術者によるネットワーク運用管理が難しい場合があった. 加えて,今後利用が拡大するIPv4/IPv6デュアルスタックネットワークでは,一部のプロトコルの障害が通信全体に与える影響も鑑みる必要がある.
そこで,複雑なネットワークシステムで発生する障害事例を体系的に整理し,経験の少ないネットワーク運用者を支援する手法を実現し,新しい形のネットワーク運用手法の確立に取り組んでいる.

無線LAN環境の品質計測を実現するハイブリッド計測手法

現在,Wi-Fiなどの無線LAN環境は広く社会において提供されるサービスとなっている.
しかし,無線LANはその特性から通信品質を確保することが難しい. まず,無線LANが利用している帯域は無線LAN以外の通信でも使用しており,通信を行っているデバイスのみの計測では通信環境の正確な推定が困難である.また,無線品質は同一のサービスエリア内であっても場所によって異なるため,単一地点での計測のみではエリアにおける無線サービス品質を推定することはできない.
そこで,無線LAN環境の通信品質計測手法として,アクティブ計測とパッシブ計測を組み合わせたハイブリッド計測を提案している.本手法では,多レイヤにわたるネットワークの機能のアクティブ計測をするとともに,その計測に並行して無線LANフレームのパッシブ計測を行う手法であり,無線LAN環境の品質を定量的に評価することを目指している.